円口類、ウナギ、ドジョウのなかま
細長い形をしたさかなをまとめましたが、この3種は生物学的にはまったくちがうさかなです。それぞれ見ていきましょう。
円口類(ヤツメウナギ)


スナヤツメ
学名:Lethenteron reissneri
地方名:ヤツメウナギ
全長:15cm
生息場所:高津川および益田川 中流~上流
解説:円口類(無顎類)という、きゅうばん状であごのない口を持つ、ふつうの魚よりも原始的な種類のいきもの。7つのえらあなが目のようにみえるため、本物の目とあわせて「ヤツメ」の名前がある。しかし、本物の目が見えるようになるのは、成魚になってからで、アンモシーテスとよばれる幼生期には目がない。水や川底の砂・小石がきれいな場所にしかすめないため、生息場所がへり絶滅危惧種となっている。(島根県 絶滅危惧II類)
※おなじヤツメウナギ科の「カワヤツメ」も、1965年に高津川で捕獲記録があるが、確認されていません。
ウナギ目ウナギ科


ニホンウナギ
学名:Anguilla japonica
地方名:カニクイ(頭が大きく黄色っぽいもの)、ゴマ(まだらもようのもの)
全長:70cm
生息場所:高津川および益田川 全域
解説:おなじみの食用魚だが、生態はまだなぞの多い魚。日本からはるか遠くの、マリアナ諸島付近の深海でたまごをうみ、シラスウナギとよばれる幼生がまた日本の川に上ってくる。すむ場所によって、色や形が異なるものがいる。
南方形(南西諸島や太平洋に多い)の別種である「オオウナギ」も高津川に生息しているという説もありますが、確認しておらず、ゴマとよばれるまだら模様のあるニホンウナギである可能性が高いです。
コイ目ドジョウ科


ドジョウ
学名:Misgurnus anguillicaudatus(ドジョウ属)
全長:10cm
生息場所:高津川および益田川 下流~中流
解説:川とつながっている水路や、田んぼのどろの中にすんでいる。ひげが5対(10本)ついた口で、泥の中の微生物などを食べる。冬の間も、水分のほとんどない田んぼのどろの中で生き延びることができる。各地に名物料理があるが、「どじょうすくい」が有名な島根県東部と比べ、高津川流域ではそこまで重要な食べものではなかったと思われる。


オオシマドジョウ
学名:Cobitis sp. BIWAE type A (シマドジョウ属)
全長:13cm
生息場所:高津川および益田川 中流~上流
解説:ひげが6本、クリーム色に黒のもようがあることで、ふつうのドジョウと区別できる。田んぼにはおらず、川の流れがゆるい場所や水路で、砂がたまっている場所にすんでいる。


イシドジョウ
学名:Cobitis takatsuensis (シマドジョウ属)
全長:6cm
生息場所:高津川および益田川 中流~上流
解説:1970年に福川水系で採取されたタイプ標本によって新種と認定された。学名に「高津」の名前を冠する、まさに高津川の顔たるドジョウである。シマドジョウより小型で、しまもようの形や尾びれのつけ根の形などがちがう。シマドジョウが砂を好むのに対して、イシドジョウは、直径1cm以上の小石を好み、小石のすきまにもぐって生活している。川底の小石の間によごれがたまっていないような、きれいな川に生息する。(島根県 絶滅危惧I類)